対談シリーズ#03 まちづくり島根県江津市編では
【Part1】私たちが目指すまちづくりってどういうことなの?
【Part2】島根県江津市のリアルな取り組みの軌跡
【Part3】江津市ではなぜ教育を軸にしたまちづくりがなぜ進んでいるのか?
について、あったかい行政マン河野裕光さん、江津市のイノベーター江上尚さんと共に、振り返ったり、トークセッションで盛り上がりました。
この記事では【Part2】島根県江津市のリアルな取り組みの軌跡(2018年〜)をお届けします。
江津市の取り組みがスタートしたきっかけ
教育を軸にしたまちづくりということで、江津は先んじておりまして。
江津でどういう取り組みがあるのかっていうのをちょっと皆さんにご紹介改めて、振り返りをしたいと思います。
どうしてこれが始まったかというと・・・
この人、変な人ですね(笑)
ドラえもんの格好してキーパーソン21の渡邉理事なんですけど、この人とですね、あら江上さん、出会っちゃいました。前から出会ってらっしゃったんですよね?
そうですね。はい。
古いお友達でいらっしゃるということなんですけれども出会っちゃった?「キーパーソン21良いんじゃない?」って江上さんが思ってくださった。
そうですね、渡邉さんとは2014年からの知り合いなんですけど最初はお仕事で知り合いました。今まで知り合ったビジネスパーソンとはちょっと違う雰囲気を持ってたんですよ。
こういう感じですからね(笑)
はい。まぁドラえもんの格好はしてませんでしたけどね(笑)普通にスーツ着てましたけど。なんかね、わくわくしてるおじさんだったんですよね。それがすごい印象的で仲良くさせてもらってました。
それで、私の本を読んでくださって、わくわくすること一緒にやりませんかって思ってくださって、この頃河野さんにご相談されたんですか?
人柄に惹かれて、私の方から是非江津市の取り組んでいるふるさとキャリア教育っていうものに是非お力お貸しくださいっていうことで私の方からお願いしたのがきっかけですね。
そうですか。「ふるさとキャリア教育」そのお話伺いたいですね。
「ふるさと教育」から「ふるさとキャリア教育」へ
島根県では、ふるさと教育ということで、とにかく地元のことを知ってもらおうという教育を、もう何年前だろう、15〜16年ぐらい前から全県下で取り組んで来ていました。江津市もそのことはずっとやってたんですけれども。ただ何年前かな?7〜8年ぐらい前に、どうしても子どもたちが受け身の授業になってしまっていて。言い方悪いですけど、大人たちの自己満足になってしまっていた。子どもたちへ故郷のことを押し付けていた、教えてたというようなことでしたので結局将来のことにつながっていかないというか。
それを今の学びと将来を結びつけて考えていけたらいいな。という事でふるさとキャリア教育っていうことで始めてたんですけど。なかなかこれがうまくいかないというか、私が思い描いてたのよりも、押しつけで終わってたっていうところがあったので、江上さんに相談してどうにか一歩前に踏み出せないかなっていうところでお願いしたのがきっかけで、今はふるさとキャリア教育についても少しずつ前に進んでいるのかなと思ってます。
押し付けっていうのはどういうことですか?
江津のまちにこんなに良いものがあるよっていうのを子どもに見てみてって感じですか?
押し付けっていうのはどういうこと?
そうですね、いろんなふるさとの伝統、例えば田植え囃子であったりだとか、伝統行事であったりとか、そういったものを子どもたちに教えて、成果発表して終わりねって。そこに子どもたちが楽しいとか、わくわくするっていうのはあまり考えてなかったのかなっていう風には思ってます、今までは。
でもねそれに関わることでその良さを知ることにもなるって大人は思いますからね、まずそこが一歩目ですよね。そうかじゃあそこで、子ども自身がわくわくする、大人もわくわくするっていうところを一緒にやれたらなんか未来を一緒に作っていくような感覚になるのかなっていうふうに思ってくださったのかな?
そうですね。まあ、ただそれをうまく繋げてくださったのは江上さんだと思っています。
2018年スタート
それでですね、私、2018年島根県江津市キャリア教育講演会に呼んでいただきまして初めてお話しさせて頂きました。
その後江津高校のみんなとわくわくエンジン発見をやったんです。
すっごい喜んでくれてこんな大騒ぎな感じになったんですけど、わくわくエンジン良いってみんな言ってくれて。
この後、江上さんがオーナーのアサリハウスというゲストハウスにでみんなで集まったんですよね。そうしたら初め訝しげな感じで見てらっしゃった先生方もですね、みんな「おう、いいね」って言ってくださるようになって。
「生徒たちの変化を見て正直驚いた」「こんなに笑顔でイキイキ対話できるって凄いって思った」って言ってくださって「やった」って思ったんですね。
さらに、同じ場なんですけど、校長先生をはじめ進路指導の先生や体育の先生たちがこうやっておでこを付き合わせてですね、どうやったら導入できるかなって考え始めてくださったんですよ。そうだ!高校生が説明会で中学生に話したらどうだろうか?とかいろんなアイデアを出して下さって。
後で名付けられたんですけど「対話型循環教育システムの始まり」が、この講演会とわくわくエンジン発見のイベントからスタートしていった事なんです。
2019年の圧倒的な広がり
翌年2019年ですね。
江津高校の高校生と先生と地域の大人にわくわくナビゲーター養成講座というの開催いたしました。わくわくナビゲーター略してわくナビって言うんですけど、わくナビがどんどん誕生していきました。そして、なんこうさんという元校長先生がいらっしゃるんですけど「これは対話型教育の循環システムの構築だね」っていう風におっしゃってくれまして、そう名付けることにしました。
こうやって高校生と地域の人が対話をする、ということが起きています。プログラムを道具としてツールとして使ってくださってるわけなんですね。
ある中学生の話
この子は中学生なんですけれども、この子がですね面白いこと言ったんですね。
中学生「今日はすごい面白かった!職場体験で来たけど、こんな面白いことをしてくれると思わなかった」
↓
朝山「何が面白かったの?」
↓
中学生「先生と話せた!」
↓
朝山「先生といつも話してない?」
↓
中学生「んー、いつもはね先生に質問される側だけど今日は先生に僕が質問した。先生が答えてくれたそれが面白かった。先生は僕の話も聞いてくれる。それも嬉しかった」
案外先生と生徒は対話はしていなっていうことが分かったんです。
このプログラムを絶対やった方がいい!ってこの子が力説してくれて、その後江津高校入ったんですよね。
ある高校生の話
この子は江津高校の生徒です。
この子もですね、わくわくナビゲーター養成講座に来てくれたんです。
「なんであの講座に来てくれたの?」と聞くと、
↓
「去年わくわくエンジン発見してもらった。だから今年は私が後輩にわくわくエンジン引き出してあげたい、と思ったから来ました」
と言ってくれて。すごいなと思ったんです!
↓
最後の振り返りの時も
「私いつも弟に“ちゃんとしなさい!”とか“将来どうするの?!”とか、すごい迫る感じで言っていたけど、もっと弟の話聞いてあげよう、寄り添ってあげようと思った」って。
家族の対話にもなる、そんな力がみんなについていくようなものであるということです。
これは教頭先生ですね、江津高校の。これは、レストランのシェフと地域の保護者の方ですね、こんな感じでみんなでイェー!って感じで何回も開催しまして。
2019年度は中学生のわくナビが2人、高校生のわくナビが3人誕生した、という凄い事が、子どものわくナビは全国初です。私、わくわくナビゲーターって大人がやるもんだと思い込んでたんですよ。大人が子どもからわくわくエンジンを引き出すってなんか勝手にそう思い込んでいたっていうか、中学生、高校生でもやってくれるんだって思ってすごい嬉しくて。それを全国初で現実的にやっちゃったっていうのが江津なんです。
だから凄い先んじているんですよ。結構子どもでわくナビやりたいっていう人たちが今どんどん出てきてまして、大人の力よりも、もうすでに子どもがつけたい力だということが最近分かるようになってきました。
2019年度はこの3カ所でやりました。嘉久志公民館、江津高校、郷田小学校。
育ってくださったわくナビたちが、子どもたちのもとにプログラムを届けに、わくわくエンジンを発見しに行って下さったんです。
嘉久志公民館
嘉久志公民館ではこんな感じですね。
もういろんな年齢の子どもたちが集まってくれました江上さんとクニショウと、みんないますね。子どもたち考えてます。一生懸命。感想をくれました。
『みんなとても優しく接してくれて自分の将来の話などにも協力してくれたり、受け入れてくれたので嬉しかったです。今まであまり自分の夢や希望に自信がなくて話そうとは思わなかったけど、わくわくエンジンに参加してみて自信が持てて言えたので良かったです。ありがとうございました。』
なんてこんなお手紙を一生懸命書いてくれて。
みんなでわくわくエンジンっていう、ホワイトボードに書いてくれて。
終わってみんな「ほっとした」という笑顔の写真になっております。
終わってからも、こうやって校長先生やら地域の皆さん、皆が集まって振り返りをしたりとかっていう地域の交流をしているという事です。
郷田小学校
郷田小学校ですね。
こんな感じで、いいですね。
これは江津高校のまり先生。江津高校の先生までわくナビとして小学校に行って下さってるんですよ。これもすごいことですよね。
これ地域のシニアのおじちゃま。おじいちゃまですね。72歳って言ったかな?こうやって地域の保護者の方とか、江津高校の先生、教育委員会の方、とかそれから地域の方、あとNPOの方ですね、こんな感じで子どもたちがおでこ付き合わせて一生懸命考えて、なんか楽しそうにやってね、一生懸命考えてくれるんですよね。
でね、最後わくわくエンジンを発表する時の素敵なエピソードを紹介します。
先生が「わくわくエンジン、最後に発表することできる人」って聞いたら
「はい!」って一番に手をあげてくれたのは、クラスで一番内気で大人しい子!
先生はびっくり!
その子はわくわくするお仕事を“古着屋さん”って言いました。
↓
なんで古着屋さんにわくわくするの?って聞いたら
↓
「お客さんといろんなお話ができるから」
↓
古着屋さんだといろんなお話ができるの?って聞いたら
↓
「うん、その人の持ってた洋服だから、それを持ってきてくれたら、その洋服にまつわる思い出とかそういう話をしてくれるから、私は古着屋さんにわくわくするんです」
それでこの子は結局もっと人と人とが話せる町にして江津を賑やかにしたい、もっと知るために挨拶から始めよう、まで言っていて、アクションまで考えているっていう、この子はすごくおとなしい子で全く発言をしない、普段も喋らないって思い込んでたけど実は聞いてみて初めてわかる、内に秘めたる想いがこの子はあるんだっていうことが分かって。
この子のわくわくエンジンは「人のことを知ること」でした。
先生は目から鱗でした、みたいにおっしゃっていて。
こういう対話ができるということです。
江津高校
江津高校の1年生にも2019年もやりました。2年目ですね、こんな感じで、賑やかにやってくださって教育長も見に来られてましたねこの時。
はいそうですね。
はい、こんな感じでまた「シゲじい」が出てきましたけど、地域のシニアの方なんですよ。毎回皆勤賞で来てくださるんですけど、この「シゲじい」が話してくれたのが、隣の浜田市の浜田駅のホームで、帰校してきた江津高校の生徒たちに会ったらしいんです。そしたらその子たちが「シゲじい」って声かけてくれたらしいんですよ。ものすごく嬉しかったって言って、わくナビになってよかったって言ってくださって。
そういう地域のさりげない交流にまでなっているってことなんですよね。プログラムを通して人と人とが繋がっていく。一人一人の物語が生まれていく。こういうことが起きています。ということなんです。
GO▶︎GOTSUわくわく研究所としてこんな記事をたくさん出してくださったりとか、私も教育新聞で連載した時に紹介させていただいたりとか広報させて頂いております。
2020年コロナ禍でも工夫した取り組み
2020年度になりました。校長先生が異動になられて、新しい校長先生がやって来られました。どうなるのかな?校長先生変わると急に方針変わったりとかするから、今までのことはまるでなかったかのようになってしまったりすることがあるんですよね。それすごい恐れてたんですけど、ところがどっこい、すっごい良い先生であの新しく転任されてきた先生もご一緒にこうやってあのオンラインで会議をさせていただきました。
もう是非やろうって言ってこの校長先生自らこのわくわくエンジン札を持ってくださってですね、やろう言ってくださいました。江川校長先生ですね。
わくわくナビゲーター養成講座で自ら「今日はゲームをしに行きましたイェー!」ってやってくださって。子どもたちのわくわくエンジン引き出してくださってました。もうわくナビですから校長先生も。2020年度も7月7日に実施をしました。 プログラムをお届けしました。わくナビたちがこうやって準備を一生懸命して、
地域のいろんな方が一生懸命準備をして、先生もわくわくエンジン会場って、こんな綺麗な字で書いてくださって、ご用意をしてお迎えをしてくださって。
みんなマスクしながらでしたけどやりました。なんだか楽しそうにやってます。
最後はハイタッチでお別れ。。
今のハイタッチはですね。あのエアーハイタッチですね。
ああそうですよね。そんな工夫をしながら、子どもたちに届ける意欲を地域の方がもってくださってる。これおとといとその前の日にちですね、3人の高校生のわくわくナビゲーターと大人たちのわくわくナビゲーターが育ちました。これはおとといです。4人のわくわくナビゲーターの高校生が育ちました。大人たちも育ちました。
結局2019年2020年度で、中学生が2名、高校生がなんと10名江津高校の子どもたちです。大人たちと合わせて56名のわくナビが誕生した。江津市内の中にですね、この56人が大きなまちづくりの起爆剤になっていってくださるんだと思うんですね。
江津高校の生徒7人が今回わくわくエンジンを発見してくれました。
□『自分が美しいと思うことを人に伝えること』
□『自分が感じた思いを自分の言葉で伝えること、自分が感じたことをありのままに』
□『人と関わること。』
□『バランスを考えて色々なものを組み合わせること』
□『人を助けること』
□『自分が考えたことを実現して人に喜んでもらうこと』
□『人を支えて喜ばせること』
そしてさらにね、わくわくエンジンが発見した後、この子たちが
地域の人たちのために、このわくわくエンジンをみんなにやりたいって言ってくれたんですよ。おおそうかと、高校生がチームになって地域づくりをやろうとしてくれてるんですね。高校生たちがまちづくりをリードしていく。まちをリードしていくっていうことの現象が始まっている。このわくわくして主体的に動こうとする高校生がこのまちにいるっていう事なんです。これって凄いことだと思うんですね!だとしたら、私たち大人はもう全力で応援するしかないんじゃないかなって思うわけです。
すごい、ここまでいってんのかっていうのが正直な感想ですね。子どもたちがやろうとしていることを見守る程度なのかなーって、ずっと思ってたので凄い驚きです。
本当!?
はい
やったあああ!でもひきだしたらこうなっちゃったんですよ。自分たちでやりたいって言い出して、「ええ!そうなの!」って。私たちの夢!自分!発見プログラムを通して対話が生まれて、人と人とが尊重し合って繋がっていく。そうするとまちの物語が生まれていくっていうことの証なんだなって嬉しく思っております。
これからも
先ほどご紹介した5つのステップの3と4、子どものやりたいを子どもたちのわくわくエンジンを発見したら、わくわくして動いちゃうわけですから子どものやりたいって思いを私たちがステップ4で全力で応援しましょうよっていう、そんな思いでおります。冒頭お話しさせていただいた、子どもを中心に家庭とか学校とか大学とか企業団体行政うちみたいなNPO、みんなが手を取り合ってですね、あらゆる立場の大人たちがごちゃ混ぜになって本気でall江津で、オールジャパンで育てるって言うことを、すべての人が自分を活かして生き生きと仕事をして生きるっていう事を実現しながら描いていくことが、もうすでに実は江津ではやり始めている、出来ちゃってるって事なんです。
人の幸せとか、まちの活性とかイノベーションとか、国の力の底力をアップするとか、世界の幸せのきっかけってこの一人一人のわくわくエンジンからなんじゃないかなっていうふうに思っております。
このわくわくする自分から始まるまちづくり、主役は子どもきっかけは大人ということ
江津市とコカ・コーラファンデーションとキーパーソン21と江津わくわく研究所と、みんなで一緒にやれたらなと思っております。全ての人がキーパーソンだという風に思っています。
どう思われました?
本当に最初に江上さんからお話しいただいた時にこの町の教育のOSにしましょうっていうことで、このわくわくエンジンを始めさせていただいたんですけれどもまさかここまで進んでるのかっていう風なのがもう正直驚きのところで、あとはこれをね・・・
(Part3に続く)
今回の対談シリーズ#03はYouTubeでもご覧いただけます。