大人との出会いが不登校の予防にも繋がると気づいた
池 なほさん
通信制高校教師/大学生の娘を持つ母親
通信制高校の教師になり不登校に悩む生徒たちの課題に直面した
以前は公立の学校で教師をしていました。ある時知り合いの方に新しくできた通信制高校で教師をやらないかと誘われ、それ以来通信制高校で働いています。
しかし驚いたことに通信制高校に通う生徒たちのほとんどは、何らかの問題を抱えていて全日制や定時制の高校に通うことができない子どもたちだったのです。
通信制高校の教師をやったことで初めて、こんなにも多くの生徒が不登校で悩んでいるという現実を知りました。同時に「どうやったら不登校の生徒たちを救えるのだろう」と日々考えるようになりました。
学校でのプログラム実施がとにかく楽しくて参加を決めた
そんなある日、通信制高校に代表理事の朝山さんが見学にいらっしゃいました。そこで学校実施現場に参加しないかと誘われ、小学校に見学をしに行くことにしました。
私が見学したのは「おもしろい仕事人がやってくる!」というプログラムで、その日のゲストは小児科のお医者さんでした。
私は教師なので学校現場には慣れているつもりだったのですが、このクラスの生徒たちの様子を見て衝撃を受けました。
今までの教師生活でも見たことがないくらい、とにかく生徒たちが“夢中”になっていたのです。
子どもたちにとって、仕事をしている大人がプライベートの話や、どんな思いを持って仕事をしているのかなどを話してくれる機会はめったにありません。「真剣に仕事をしている大人」と「1人の生身の人間」が繋がり、仕事を身近に感じることができた瞬間だったのではないかと思うのです。
時間を忘れるほど真剣に大人の話に聞き入ったためか、プログラム終了後にトイレに走って駆け込んでいた生徒がいたのも可笑しかったです。笑
「こんな面白そうなプログラムなら見ているだけじゃなくて、私も参加したい!」と思い、キーパーソン21に参加することを決めました。
大人との出会いが不登校の予防対策にも繋がると気づく
会員になってから、ある高校に「個別アクションプログラム」というプログラムを実施しに行きました。個別アクションプログラムとは生徒一人一人のわくわくエンジンを一緒に見つけ出し、そのわくわくに基いて生徒が進路を決め、具体的なアクションをするところまでサポートするプログラムです。
プログラム実施前に担当の先生から、「池さんが担当する生徒は不登校気味でほとんど会話をしてくれないから大変だと思いますよ」と伝えられていたので、少し心配していました。
実際にその生徒に会ってみると、たしかに最初は顔を挙げずにほとんど話してくれません。しかし、向き合っている内に、だんだんと自分のことを話してくれるようになったのです。しかも自分のわくわくエンジンを発見した後には、ちゃんと自分でやりたい仕事の求人票を調べて、どうしてその仕事を選んだかを楽しそうに私に説明してくれたのでした。
担任の先生もその様子を見ていて、生徒の変化にとても驚いていらっしゃいました。
「自分の将来のことを真剣に考えてくれる大人がいると思ったら頑張ろうと思った」その生徒がこう言っていたと、担任の先生が後日教えてくださった時には言葉で表せないくらいの喜びを感じましたね。
「生徒にとって赤の他人の大人だからこそ生徒の心に響かせられることがある」ということにこの時気づきかされました。
私が教師をしている通信制高校は不登校になっている生徒たちが勉強をする場を作るという役割を果たしていると思います。それに対してキーパーソン21のプログラムは「子どもたちが不登校に陥ってしまう前の予防対策」という側面もあるのだなと実感しました。
キーパーソン21への参加を考えている方にメッセージ
実施現場に参加している会員の方は、私のような教育に携わる者だけでなく、主婦や、会社員、シニア世代の方や大学生など多様です。 様々な職業や世代の方と活動を通して出会えることもキーパーソン21の魅力です。
今キーパーソン21に参加しようか迷っている方がいれば、飛び込んでみてほしいです。 一緒になって真剣に自分のことを考えてくれる大人を子どもたちは待っています。