認定NPO法人キーパーソン21

活動ダイアリー わくわくエンジン®ブログ

新成人暴れる事件から。私たちができるたった一つのこと。

2017.01.09

代表朝山ブログ

あけましておめでとうございます。
そして、今年も121万人の新成人誕生のお祝いがされました。
重ねてめでたいことです。
同時につくば市で新成人が暴れて成人式が中断したというニュースが流れてきました。
暴れた”子どもたち”は、
「おもしろいから」「先輩がやるのをみていてカッコいいと思った」
と興奮気味にテレビのインタビューに答えていました。
「どう?見てたでしょ。」
と言いいたそうに見えます。
認められたい思いが潜んでいるように思えてなりません。
いろいろな事情や環境の中での育ちから、
歪んだ形で彼らの一人ひとりのエネルギーが放出されていることが伝わってきました。
一人ひとりを認める力を大人がつける
どんな環境にある子も、親や先生、まわりの誰かから認められたい思いがあるもの。
そして、どんな子どもにも必ずいいところがあって、
それは認められていくべきはずのものという大前提のもと、
子どもを育てる立場にある私たち大人は、
彼ら一人ひとりのことを本当にちゃんとみて来ているのでしょうか。
彼らのいいところを見て認めるということをしてきたのでしょうか。
いや、それ以前に、そもそも、私たち大人は、子どものいいとこころを発見し認め伸ばす力が
備わっているのでしょうか?
そのような力を発揮する訓練をうけたことがあったでしょうか?
子どものいいところや特性を発見して、認め、子どもの力を発揮させるに足る力の習得や
方法について意識したり、議論したりしたことはあったのでしょうか。
 
子ども・若者白書
平成26年度内閣府が発表している子ども・若者白書の中で、
自己肯定感、意欲、心の状態、社会規範、社会形成・社会参加、自らの将来のイメージについて、
日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、の7カ国の
13歳〜29歳の国際比較が発表されています。http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26honpen/tokushu_02.html
これをみると、日本の子どもたちが、
『社会のために役立ちたい気持ちを持っているけれども、自分や社会の将来に希望を持てないと感じている。』
ということが、データの中でも明白になっています。
(1)自己肯定感
自分自身に満足している者の割合は5割弱,自分には長所があると思っている者の割合は7割弱。いずれも諸外国と比べて日本が最も低い。年齢階級別にみると,特に10代後半から20代前半にかけて,諸外国との差が大きい。
(2)意欲
うまくいくかわからないことに対し意欲的に取り組むとした者の割合は5割強で最も低い。また,つまらない,やる気が出ないとした者の割合は8割弱で最も高い。そうした傾向はいずれの年齢層でもみられる。
(3)心の状態
この1週間の心の状態について,悲しいと感じた日本の若者の割合は7割強,ゆううつだと感じた日本の若者の割合は8割弱で,いずれも諸外国と比べて相対的に高い。そうした傾向はどの年齢層でも同様にみられ,特に10代前半では突出して諸外国より高くなっている。
(4)社会規範
「いかなる理由があっても,いじめをしてはいけない」と思っている日本の若者の割合は9割弱,また,「いかなる理由があっても,約束は守るべき」,「困っている人を見たら,頼まれなくても助けてあげるべき」と思っている者の割合は7割以上となっており,いずれも諸外国と比べて大きな差はない。さらには,「他人に迷惑をかけなければ,何をしようと個人の自由だ」と思う者の割合は諸外国と比べかなり低い。
(5)社会形成・社会参加
「社会をよりよくするため,社会問題に関与したい」と思っている日本の若者の割合は4割強,同様に「私の参加により,変えてほしい社会現象が少し変えられるかもしれない」と思っている割合は約3割となっており,いずれも日本が最も低い。
(6)自らの将来のイメージ
自分の将来に希望を持っている割合は6割強,40歳になったときに幸せになっていると思う割合は7割弱で,いずれも諸外国の中で日本が最も低い。年代が高くなるほど,その傾向が顕著である。
上記データは、子どもたちと向き合い活動をしているNPOの現場感で言えば、調査するまでもなく、日本の子ども・若者の実態であることを日々感じ続けているものであり、それを裏付けてくれているものであります。
大人はわくわくしているか?
 
では、なぜ、このような状況になってしまっているのか?
16年間子どもと向き合って来たNPO活動の中から得たその理由の解は
実はそんなに複雑ではありません。
子どもも大人も、それぞれわくわくしたエネルギーをもっているか?
という問いの中にその答えがあります。
子どもたちは成長過程において、
大人がつくった過去の慣習や歴史や高度経済成長期の均一な教育の枠組みの中で、
だめなところ、満たっていないところは何度もダメと大人から烙印を押され、
こうしなさいと注意されるけれども、
自分のいいところや小さなできたを褒めてもらったり、
わくわくして夢中になっている自分の姿をそれでいいんだよと認めてもらう経験は、
実は、圧倒的に少ないのです。
子ども自身が日々、
存在している社会に旅立つレッスンをしているコミュニティ(学校や家庭や部活や)の中で、
子どもたちは、わくわくしたり、いきいきしたり、
自分を認めてもらう経験をもつことができていないのです。
それなのに、まだ知らないこれから飛び込む社会の中に向けて、
役立つ自分いきいきと活躍する自分を具体的にイメージできるはずなどあるわけがありません。
ましてや、目の前の大人たちがそもそも”わくわく””いきいき”して見えないのに、
どうして、未来に意欲や希望をもつことができるでしょうか。
「今の自分」と「目の前の大人」と「未来社会の中の自分」を合わせた万華鏡を覗いた時に、
一歩を踏み出したいと思う世界をみることなどできないのです。
 
これから、来る未来社会は、
多文化・グローバル・多様性・多世代・協働というキーワードの渦の中にあります。
どうしたらよいのかわからなくなって意欲が低下しているのは、
実は子どもだけでなく、大人の方こそなのではないでしょうか。
今後加速するであろう立体的で複合的で多様で多元的な「ごちゃまぜ」の社会の中で、
私たちは、互いを認め合う協働のコミュニケーションを取り合うことが様々な形で
ますます求められるようになってきます。
そうなった時に、わくわくするエネルギーとともに、
自分が何者であるかを語る力がますます必要になってきます。
私たち一人ひとりは、互いを認め合い、
わくわくした個々のエネルギーで構成された協働のコミュニティをつくるレッスンを
今からしておかなくてはならないのです。
成人式に暴れた二十歳にもそこまでやるに至ったワケはあるでしょう。
あばれてしまう子どもも、
あきらめ感をもって意欲低下して一歩を踏み出せないでいる子どもも、
社会変化の中で、どうしたものかと戸惑う大人たちも、
自分のエネルギーの行き先をどこに向けたらよいのかわからずにいる迷い子であるという意味で、
本質は同じだと思っています。
大人がやるべきこと
 
私たち大人が、いますぐやるべきことは、ただ一つです。
「一人ひとりの子どものいいところを発見し、エネルギーの原動力を見つけ出し、
自分で考え自らの力で動き出す力を育む」
ということ。
日々子どもと直接に接する親や教員はもちろん心していかなくてはならないですし、
大学は、教育と社会の架け橋となって学生を社会に送り出す立場として、
企業は、働く人として若者たちを迎える立場として、人材育成に先行投資していかなくては立ち行かなくなることは目に見えていますし、
行政にとってもいきいきと仕事をする人つくりの仕組みを早急に作らなくてはならないことは
喫緊の課題なはずです。
誰か任せにすることなく、
企業、行政、学校、NPO、大学、様々な地域の団体が思いを一つに一緒になって、
それぞれがわくわくエンジンを全開に、
子どもたち一人ひとりを大切に誇りに思いながら育んでいく。
ご一緒に手を取り合ってまいりませんか。
その幸せは、必ず私たちに戻ってくるはずです。
一億総活躍社会がスカスカの政策にならないように、
一人ひとりが本当の意味で、力を発揮して活躍していくために
一人の子どももこぼれ落ちることがないように、
これまでないがしろにしてきた意欲を育むという内的育成に国をあげて、
力を注ぐ時がきています。
 
一刻の猶予もありません。
子どもたちは、毎日育っています。
今年、生まれた赤ん坊は、20年後二十歳に。
今年、小学校に入学する1年生は、14年後二十歳に。
小学校を卒業する6年生は、8年後二十歳に。
今年、中学校を卒業する中3生は、成人が18歳と制定されれば3年後には成人式を迎えることになります。
わくわくする大人とわくわくする子どもそれぞれの原動力が響き合う、
そんな温かで活力溢れる社会を、私たちおとなが率先して作ってまいりましょう。
毎年やってくる成人式が、本当の意味で日本中のハッピーなお祝いの日となるように。
※つくば市の成人式のニュース

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